人材育成
本プロジェクトにおいて、若手研究者の育成には、①ワークショップ、②に若手スクール、③若手研究者の短期及び長期滞在、④シニア・中堅研究者によるレクチャーセミナーツアーを柱として執り行っています。これらの活動により、より強力かつ持続的な国際協力を確立するために、シニア・中堅研究者、学生を含む若手研究者の間を縦の壁を取り払い、フラットな立場で交流を促進しようとすることを一つの目標とします。
具体的計画
①ワークショップ
年に一度セミナーを開催し、上級研究者、若手研究者、学生が集まり、各々が研究成果についてプレゼンテーションを行うことで、そのアイディアを交換します。5年間を通じ、オックスフォード、京都アントワープ、ボルドー、東京で毎年セミナーを開催する予定です。
このセミナーでは、口頭発表とポスターセッションからなり、全参加機関における最新の成果をシェアするとともに、ブレインストーミングセットを設け、若手も積極的に参加し、非公開データも共有しながら、新しい研究の立案、共同研究の立ち上げを行います。
②若手スクール
プロジェクトの2年目と5年目に異なる場所でサマースクールを開催し、シニア研究者が若手研究者や学生に対して、複合アニオン化合物に特有の合成(高圧、薄膜、低温合成等)、構造解析(X線、中性子、電子線回折)、化学機能・物理機能、理論計算に関する講義をします。特に、第1回は構造に関して比重を高めます。伝統だけでなく、今でも最先端を走る欧州の構造科学の専門家の講演を日本の若手が受けるまたとないチャンスになります。
また、第2回を理論の比重を高め、Dranskowski、DeringerによるLOBSTERスクール(これは「複合アニオン」新学術主催で2019年8月に開催)も兼ねる予定です。この他に、新学術で大成功を収めている「異なる所属の学生による研究立案」を採用し、自立した研究者としての能力を身につけてもらいます。
③若手研究者の短期及び中期滞在
このプログラムは、若手研究者や学生が短期または長期に渡って、海外研究機関に滞在することを奨励し、新しい技術を学ぶだけでなく、コミュニケーションや国際協力の促進を目指します。モットーは「一緒に育てる」です。滞在中に、陰山新学術で行っている班内班間留学に相当する若手ミニ留学を実行し、滞在国の関連研究室を訪問し、実験などを行います。これにより、若手研究者は自らのネットワークを形成し、様々な研究立案法、実験技術、研究哲学を学ぶことができます。
また、これらの交換を通じて、次世代の複合アニオン材料のより広い国際コミュニティを構築し、さらなるユニークな合成、分析、物性評価法の開拓と革新的機能の創出につなげる。陰山新学術では、Hayward研、Clarke研の短期滞在、Dronskowski研、Hermandez研への派遣や招聘など多くの実績があります。
④シニア・中堅研究者によるレクチャー・セミナーツアー
これらの講演ツアーは、相手国、及び日本の関連機関だけでなく、他の研究機関を含めて行うものであり、複合アニオンに興味をもつ若手研究者を増やし、将来にわたるより広いネットワークを形成することを目指しています。講演者は、単に研究成果を報告するだけでなく、自らが使用する実験技術を教授するために、他の参画機関を訪問し、講義を行います。例を挙げると、講演者が高圧合成、薄膜合成、ヒドリドあるいはフッ化物合成、物性評価、電子回折技術に関する講義を若手に行い、実験に当確機関で同様の研究ができるレベルまで技術提供を行う。これは、学生だけでなく、当該機関の研究者が複合アニオン化合物の開発を促進することにも貢献すると考えられます。
②、③、④は、陰山新学術での取り組みをうまくいった試みを取り入れたものであり、ノウハウがあるため、機能的に運営することができます。また、ボルドー大学と京大との大学間協定などを利用し、大学院講義の聴講や単位互換なども検討します。また新たな部局間協定も締結も随時進める予定です。