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研究交流

研究交流目標

21世紀に入って、複数のアニオンが同一化合物に含まれる「複合アニオン化合物」が新しいタイプの無機材料として注目を集めはじめています。酸化物や窒化物など既存の無機材料に比べ、複合アニオン化合物では特異な配位構造や結晶構造が得られるため、根源的に異なる革新的機能の発現が期待されています。日本は、世界初となる可視光水分分解光触媒、ヒドリド(H⁻)イオンの活性を利用した新規反応や触媒を開発するなど、世界をリードしています。

2016年に世界初の複合アニオンの大型プロジェクトとして、陰山を代表とする新学術領域研究「複合アニオン化合物の創製と新機能」が発足後、国内の関連研究者による積極的連携を徹底することで、新物質・新現象が次々と発見されるとともに基本原理・学理も見え始めるなど新しい学術分野として飛躍しつつあります。陰山新学術の国際活動支援班では、海外のハブ拠点研究者との共同研究や国内外のレクチャーツアーなど独自の取り組みを行い、大きな波及効果を得ています。

一方2014年からの「超空間」CREST研究(代表:陰山)では、同所属の阿部と開発した新規複合アニオン材料の研究を加速させるため、JST海外招聘・派遣制度を利用し、2017年よりベルギーの研究者らとの共同研究が続いています。 このように、複合アニオン研究は、基礎科学から応用分野まで拡大しつつありますが、「複合アニオン」新学術、CREST研究が残り1年半、半年となった今、自立的で継続的な国際研究交流拠点を構築し、シームレスな研究展開を図るべきだと考えます。本課題では、京都大学(工学研究科)を拠点とした日本が、英国、フランス、ベルギー、中国の4大学・研究所と国際交流拠点を構築し、特に、機能物質としての応用で顕著な成果が認められる酸水素化物、酸フッ化物を重点対象として共同研究を推進するとともに、他の欧米、アジア、オセアニア地域とも新たなネットワークを構築します。

次世代を担うグローバル革手人材を育成するために、学生を含む若手研究者を海外研究機関や周辺大学へ派遣し、他国(拠点)の得意分野を吸収する機会などを与えます。また、シニア・中堅研究者は海外の複数の研究機関を訪問して研究議論を深めるレクチャー・セミナーツアーを実施し、複合アニオン科学の普及と、国際的な人脈を構築する。これらの活動を通じ、本事業終了時には新しい科学時術を生み出す国際拠点を形成します。

研究交流計画

多国間共同研究の計画

共同研究
整理番号
共同研究課題名 実施予定期間 参加国
R1 ヒドリド系複合アニオン 2020~2024年度 日本・英国・白国・中国
R2 フッ素系複合アニオン 2020~2024年度 日本・英国・白国・中国
R3 拡張複合アニオン 2020~2024年度 日本・英国・白国・仏国・中国
R4 応用プロセシング 2020~2024年度 日本・英国・仏国・中国

上記した共同研究、は複合アニオン化合物の新物質科学・新材料科学という概念で包括でき、その要素技術は、合成・解析・機能化の3点です。合成の技法やプロセスには、各グループがそれぞれ受け継いできた流儀と文化が存在します。国際グループ間での人材交流を通じて、論文だけからは読み解くことが難しいノウハウを互いに交換することで、相互スキルアップ、さらには斬新な手法開発をねらうことも可能です。

複合アニオン研究では、化学分野だけをとったとしても無機合成化学、分析化学、光化学、物性科学、電気化学、触媒化学などが有機的に絡んだ学際的な研究が必須であるため、これに若手が参画することの意味は大きいです。